前回の記事に引き続き、9月10日に行われた議会運営委員会での、請願第7号「松戸市議会議員の議案に対する賛否態度の公開を求める請願」の審議の模様を掲載する。
※傍聴時のメモからの書き起こしであり、内容の誤りやニュアンスの違いもある可能性があるので、ご了承ください。特に、書き取りに自信がなかった部分については、(△)(×)と表記しております。
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審議概要-前回の記事からの続き
<事務局からの説明>
●議事調査課長
表決方法は会議規則で規定されていて、第70条に規定されている「起立による表決」または第76条の「簡易表決」を採用している。「起立による表決」ではどの議員が起立したか認定は出来ず、公的な記録はない。この他の表決方法としては、今まであまり例がないが、投票による表決(「記名投票」「無記名投票」)が規定されている。
過去の議会だよりでの賛否公開について。平成24年7月発行の議会だよりより、会派代表者にご協力いただいて、試験的に会派ごとの賛否公開を行っていた。しかし、実際の賛否と紙面の内容に差異が生じ、その後広報委員会が目視により検証した結果、課題解決は難しいという結論に至った。
<事務局への質疑>
●二階堂剛委員(政策実行フォーラム)
「公的な記録はない」との事だが、目視による確認は会議規則を変えなくても行う事は出来るのではないか。
→議事調査課長
出来るかできないか、という話よりも、「オフィシャルな方法」をどう捉えるかだと思う。
●二階堂委員
他市が行っているように、会議規則を変えなくても目視による確認を行うことは可能か、という意味で伺った。
→議会事務局長
情報公開を行う際に、公的な情報として出すことが出来るか、というところが問題になってくると思う。
●二階堂委員
それは、条例を変えないとできないことなのか。
→議会事務局長
公の情報として責任を持つとなると、規則を変える必要があると考える。
●二階堂委員
現在でも事前に紙が回ってきて、賛否について記入するようになっているが、そのことと規則はどういう関係になっているか。
→議事調査課長
あの紙は、表決の効率化のために行っている。
●宇津野史行委員(日本共産党)
紹介議員への質疑が、手法の話中心になってしまったのは残念。但し、事務局に対しては手法の話もしないといけない。私は会派ごとの賛否を公開した当時の広報委員長だった。その際に齟齬があったのは、重く受け止める必要がある。会派の賛否をちゃんと見るようにして間違いがあった場合、解決策は「もっとちゃんとみること」ではないか。ちゃんと見てだめだったから、ちゃんと見ないようにしようというのは、後ろ向きの解決方法ではないか。
→議事調査課長
当時広報委員会では、目視による確認は限界があるという結論だった。
解決策については、議会で個人の賛否公表していくと決まれば、それに従って模索していくことになると思う。(△)
●宇津野委員
仰る通り、目視が限界というのは広報委員会での結論。賛否の公開を行う上での方法や問題点を、議会事務局単独で検討することは出来ないと考える。議会からの指示がないとできないと思われるが、如何か。(△)
→議会事務局長
基本的には、議会からの依頼によって、調査事項として調べることになる。
<フリートーキングによる委員間意見交換>
●宇津野史行委員(日本共産党)
「やろうとするかしないか」というところしか議題になっていない。前回の請願の審議で、反対の立場の委員が討論で、「賛否を公にしたくないという議員は一人もいないと思う」と述べられた。その通りであれば、今回の請願は通るはず。この認識に異論がある方はいるか。
●伊東英一委員(公明党)
私としては、前回の議論を踏まえて、市民に誤解を与えてはいけないというのは大前提だと思う。前回の請願は手法の上で問題があるということで否決となった。会派構成は全く変わっていない。議員も変わっていない。前回は手法の話で、今回は方向性の話というのは違和感がある。以前会派ごとの賛否公開を行った時の「事故」(※2)の解決方法は見いだせていないまま、「とにかくやろうよ」というのは違和感がある。誰が見ても分かりやすい方法でないといけない。
●原裕二委員(政策実行フォーラム)
確かに賛否を間違えてしまうと、議会の信頼度が落ちてしまうと思う。信頼性が大事だからこそ、市民には分からない公開への課題や方法論を議会で決めてほしい、というのが請願者の趣旨説明だったと思う。宇津野委員の仰る通り、ここでは賛否態度の意思を話し合うべきでは。
●宇津野委員
手法については、前回の反省を踏まえることは大事。但し、議会としてその解決策は出していない。これを一歩前に進めるためには意思表示が必要。解決策が示されてから一歩進めるというのは、議会のルールとは違う。
●杉山由祥委員(まつど自民)
課題を解決すべきか、一歩進めてから課題を解決していくのかで、意見が分かれているように思う。任期最後の議会で決定をして、次の任期の議会に任せるというのは無責任じゃないかと思う。
●二階堂委員
過去にも、任期最後の議会で一定の方向性を決めて、次の議会へ申し送りということはあった。今回公開をすると決めて、詳細は次の議会に任せるというのは、問題ない事だと思う。
●宇津野委員
選挙があったからといって、今回提出された請願趣旨の民意が変わるわけではないと思う。
●山口栄作委員長(市民クラブ)
冒頭で請願者も趣旨説明を行っていただいたが、今回の審議では請願文を読み解く必要があると思う。この請願が通れば、いち早く全議員の賛否を公開しなければならないということになるだろう。「方法論は後で」という意見もあったが、2年前の議論では、タイトルと中身だけでは誤解が生じる等方法論の問題で不採択となっている。その後2年間、賛成した議員も反対した議員も議論していない。議論していれば、事務局に対して調査してほしいと言えたと思う。
●二階堂委員
否決したら議論が進みにくいということもあると思う。賛否公開を行ってる自治体へ視察に行ったことも、今回請願を受けた理由の一つだと思う。
●山口委員長
ペーパーレス化ということでタブレット導入をしている自治体を視察後、タブレット導入によって賛否公開が簡単にできるのではないかと研究しているが、研究の段階で終わっている。
請願文では「すぐにでも公開してもらいたい」となっている。議論がかみ合っていない。(△)
●宇津野委員
「すぐにでも」とかいてあるが、「できることからすぐにでも」と書いてある。
●山口委員長
それをやるためには、2年前の「タイトルだけだと誤解を生じる」という点をクリアしないといけない。
●宇津野委員
なぜ議論が進まないかというと、議会が議論しようという合意がないからだ。議論してほしいというのが請願の趣旨である。
(何名かの委員から「それは文面に入っていない」との声)
「すぐにでも」というのは、解釈次第。請願者の意図をくみ取る必要がある。
●二階堂委員
冒頭での請願者の趣旨説明では、賛否公開の意思を示してほしいと言っている。ここをくみ取るべきだ。
●杉山委員
先ほど無責任と言ったのは、合議体として意思決定する際に、決定的な問題をクリアすべきかどうかを抜きにして、前に進めるということ。次の任期の議会に申し送りすることは可能であるが、決定的な問題を残して申し送りすることが無責任であると申し上げた。
●宇津野委員
絶対不可能なものを議会でやろうと決めるのは問題。賛否の公開については、私は可能だと考えるが、絶対不可能だと考える委員さんがいらっしゃるなら、その理由を教えてほしい。
●伊東委員
技術的な面は、タブレット導入等で可能だと思う。今回の請願は、前回の議論を踏まえた上での議論するべきだが、残念ながら進展がないと思う。
●宇津野委員
技術的な可能であること、2年前から議論が進んでいないことは共有できていると思う。ただ、議論が進んでいない原因は、議会で議論をしていないからであって、議論が進んでいないから今回の請願がダメだというのは順番が違う。
●原委員
方法論は一般市民にとって難しいから、請願者は趣旨説明で「専門家である皆さんに方法は考えてもらいたい」と仰ったと思う。例えば、表決のシステムが、柏の方式だと5000万円、流山の方式だと数100万円かかると言われ、本当にどれがいいか判断するのは市民にはなかなかできないと思う。願意に限りない正確さを求めるのは難しい。
●杉山委員
その為に紹介議員がいる。「請願者とオーソライズしているのか」という質問も、その部分について伺った。
●原委員
2年前にも、以前会派毎の賛否公開した際に起きた問題について、議題に上がった。賛否公開している自治体の中で、紙で確認を取っているところがあるという話は、2年前の議論では出てこなかったので、全然進んでいないということでもないと思う。
●宇津野委員
具体的な手法を示してほしいという気持ちは理解できる。但し、ここで素晴らしい方法が提案されたとしても、請願が通れば、その後議会として検討する場は設けられるはず。具体的な手法がないということを、あまり問題視する必要もないのではないか。
<討論>
●宇津野史行委員(日本共産党)…採択
手法の問題は、今後検討すべき。議会として、取り組む姿勢を示すべき。
議会だよりも、求められるものが変化していると思う。
●岩堀研嗣委員(市民クラブ)…不採択
何度か「己の賛否態度を公開したくない議員はいない」という私の2年前の発言を取り上げていただいたが、議員にとって議案への判断こそがもっとも重要な行為。その中で、態度結果だけを公表するのが、果たして正しい事なのかどうか引っかかる。肝心なのは、理由をお示しすること。結果と理由をセットにしないと、伝える側として不十分だと思う。請願を判断する際は、請願文を読み解くことが大事で、請願文から考えると、いち早く賛否態度のみを公開しないといけないことになる。解決されてない問題をそのままにして、採択することは違和感を感じる。議会での議論はこれから必要。
●二階堂剛委員(政策実行フォーラム)…採択
多くの市民は、議会の動きが見えない。見えないからこそ、請願者は賛否を公開してほしいと考えていると思う。請願事項には確かに「すぐに公開してほしい」と書かれているが、趣旨説明で請願者自身が「まずは議会としての賛否公開の意思を示してほしい」と述べられているので、文書だけをもって判断するのは違うと思う。「賛否態度だけを掲載するのは」とい部分については、議会だよりの紙面を工夫するなり、ホームページを活用するなりして対処できる。一旦否決されてしまうと、議論が前に進みづらくなる。
●伊東英一委員(公明党)…不採択
前回の議論で指摘された内容については、残念ながら解決していない。前回と今回紹介議員になられていた方もいるが、「議論が進んでいない」ということであれば、本来ならその方々がもっと動くべきだったのでは。
●杉山由祥委員(まつど自民)…不採択
岩堀委員とほぼ同じ理由。懸念している問題点が解決していないように思う。紹介議員は大変だったと思うが、多数派を形成するためにもう少し努力してほしい。
●飯箸公明委員(公明党)…不採択
議会だよりは、公平性・中立性・正確性が大事だと思う。ホームページは、市民の方がすべて見ることが出来るわけではない。議会だよりが配布されて、それが一人歩きする危険性がある。市議会は議論の場であり、紙面では議論の内容をもっと充実してほしいという意見もある。
●原裕二委員(政策実行フォーラム)…採択
今回は素直に、請願者が趣旨説明された「議会としての賛否公開の意思を示してほしい」というのが願意だと考えればいいと思う。千葉県内で8割方賛否の公開は行われている。松戸市でできないとは思わない。この流れに遅れてはいけない。疑問を持たれても、説明すればいいのではないか。議員の仕事の集大成は議決権の行使で、それを公開するのは当然だと思う。
●大谷茂範委員(まつど自民)…不採択
2年前の議事録を見たが、まったく状況が変わっていない。議会の賛否は公のもの。方法論が確立していない中で、議会だよりやホームページだけに載るというのは如何なものか。
<採決(敬称略)>
採択:宇津野史行(日本共産党)、原裕二(政策実行フォーラム)、二階堂剛(政策実行フォーラム)
不採択:大谷茂範(まつど自民)、杉山由祥(まつど自民)、岩堀研嗣(市民クラブ)、城所正美(公明党)、飯箸公明(公明党)、伊東英一(公明党)、張替勝雄(まつど自民)
※委員長は採決に加わらないことになっている。
→結果:不採択とすべし(願意に沿いがたし)
※2 前回の記事の文末参照。