4年の任期の最後の定例会も9/28(金)で最終回を迎える。今定例会の議案等の委員会審議の中で、一番最初に開かれたのが、10日の議会運営委員会。この日、あらかじめ用意されていた席数を超える20名以上の傍聴希望者が集まり、議会事務局は急遽傍聴席数を増やすこととなった。
この議会運営委員会で審議されたのが、請願第7号「松戸市議会議員の議案に対する賛否態度の公開を求める請願」。請願内容と審議の概要について、本記事と次の記事に分けて紹介する。
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請願第7号「松戸市議会議員の議案に対する賛否態度の公開を求める請願」
<請願の要旨>
(請願趣旨)
千葉市・船橋市・市川市・柏市・流山市・我孫子市・野田市議会では、市議会議員の賛否態度は公開しています。しかし、松戸市議会ではいまだに公開されていません。そこで、市民の代表である議員の賛否態度について、すぐにでも公開していただきたいと思います。下記のとおり請願いたします。
(請願事項)
1 個々の議員の賛否状況について、HP・議会だより等でできるものから早く公開していただきたい。
2 議案数が多いなどの理由で掲載スペース等の課題があるのであれば「全会一致」の議案は除く等の工夫により早く公開を進めて頂きたい。
<紹介議員(敬称略)>
山口正子(日本共産党)・DELI(政策実行フォーラム)・関根ジロー(政策実行フォーラム)・高木健(日本共産党)
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審議概要
※傍聴時のメモからの書き起こしであり、内容の誤りやニュアンスの違いもある可能性があるので、ご了承ください。特に、書き取りに自信がなかった部分については、(△)(×)と表記しております。
<請願者の趣旨説明>※1
多くの市が実施している議員の賛否の公開が、松戸市では公開されていない。しかし私達は、市民が選出した議員がどのように議決権を行使したか関心がある。特に自分が投票した議員については、公約通りの賛否態度を取っているか確認したい。最近低投票率が叫ばれる中、議員の賛否が分からないと、議会に関する関心が薄れ、更に低投票率になる恐れがある。これまでの議論の中で、様々な課題があることは承知しているが、まずは「議会としての賛否公開の意思」を示してほしい。市民には分かりづらい課題や方法論などは、その後議論してほしい。
<紹介議員の趣旨説明>
●DELI議員(政策実行フォーラム)
2年前の同種の請願審査では、傍聴人が30名を超え、議論は2時間にも及んだ。ただし、その過半数の時間は、賛否公開への課題についての話だった。願意は賛否の公開なので、「松戸市とても、賛否の公開を行うべきか」が本質である。まずは、公開への方針を決め、課題克服の議論はその後にすべき。
全国では、賛否公開を行っている自治体が過半数。松戸市議会でもできると思う。議会運営委員会や広報委員会は、視察の際に他の自治体の状況を確認している。改選前の審議なので、「継続審査」は実質廃案と同じことになる。2年前から続いている議論と考え、結論出してほしい。
<紹介議員への質疑>
●張替勝雄委員(まつど自民)
2年前と現在とで状況が変わったか。
→DELI議員
千葉県内の自治体のうち、2年前は37市中31市が賛否の公開を行っていた。その後、君津市が公開を行うようになり、32市となった。
●張替委員
松戸市議会の中で、状況が変わった点は?
→DELI議員
他市への視察等も行って、議論の素地ができているように思う。
●伊東英一委員(公明党)
この2年間で、DELI議員が課題解決に向けて議会の中で進めてきた具体的な対策は。
→DELI議員
広報委員会や議運の視察の中で、賛否公開について話していると会派内で報告は受けている。機運は高まっていると感じていた。昨年、賛否の記録を取ってほしいという陳情が委員会付託されず、皆さんの意見がまとまっていないと感じたため、拙速かなと思い議案を提出するまでは至らなかった。
●伊東委員
視察した自治体では、タブレット利用によるペーパーレス化などが行われてきた。松戸市では、そういう動きにはなっていない。具体的に松戸市でどういう点が改善されてきたか、示すのが先だと思うが、どうか。
→DELI議員
請願者の趣旨説明にもある通り、願意は「賛否公開の方向性を決めてほしい」ということだと思う。
●伊東委員
確かに趣旨説明では「方向性を示してほしい」と述べられていたが、請願文では「公開してほしい」となっていて、その点は違っているように思う。賛否の公開について、松戸市議会では過去に誤解を生じた(※2)という経緯があるので、環境整備が先なのではないかと思うがどうか。
→DELI議員
今の時点でも、決定的に出来ない理由はないと思う。
●宇津野史行委員(日本共産党)
先ほどの議論は、環境が先か意思表示が先か、という議論だと思う。例えば、引っ越そうと思う前に、家を探す人はいない。まずは、引っ越すことを決めてから、物件を探し環境を調べたりたりする。紹介議員に聞きたいのは、視察に行った議員と賛否の公開について意見交換した際、相手の議員がこの問題についてどのような印象を持っているように思ったか。
→DELI議員
あまり否定的という印象はない。前回の請願の際、岩堀委員から「賛否の公開自体に否定的な議員はいないだろう」との発言があったが、ここにいる委員で、そのように賛否公開自体に否定的な人はいないと考えている。
●宇津野委員
では、「賛否の公開自体に否定的な議員はいない」という前提で、話を進めてもいいか。(×)
→DELI議員
テクニカルな問題とは別に、方向性を確認するいい機会だと思う。
●二階堂剛委員(政策実行フォーラム)
市民からの要望で決めるべきか自分たち議会が決めるべきか、という議論についてはどのように考えるか。(△)
→高木健議員(日本共産党)
議会の44名は市民の代表。賛否を公開してほしいというニーズが広がっている。時代のニーズが変わってきているので、それに応じる必要があると思う。
●杉山由祥委員(まつど自民)
1.請願の要旨の文章では「すぐにでも公開してほしい」、紹介議員の説明では「方向性から決めてほしい」となっており、ずれがあると感じる。その辺は請願者とオーソライズしているのか。
2.趣旨説明の中で、賛否態度が非公開だと低投票率につながるという話が出たが、公開した他市の例で、投票率向上につながったエビデンスはあるのか。
→関根ジロー議員(政策実行フォーラム)
1.請願事項には「出来るものから早く公開してほしい。」という文章があり、「方向性から決めてほしい」ということとずれはないと思う。
2.こちらの方では調べていない。
●原裕二委員(政策実行フォーラム)
2年前の同趣旨の請願も審査した立場だったが、その際に指摘のあった「賛成反対の理由を書かないと誤解を与える」「議案の件名だけだと誤解を与える」という点についての対処の方法は。
→高木議員
この2年の間に賛否の公開を決めた君津市では、ホームページ・議会だより双方で議員個人の賛否の公開を行っている。ホームページでは、当日にアップされる。議会だよりでは、賛成反対の討論を掲載し、委員会の審査の概要も掲載している。賛否の分かれた議案については、討論に参加した全員の討論の抜粋を掲載している。採決は起立で行っている。目視と映像で確認している。
●原委員
質問と回答内容がずれてしまったようだが、「賛成反対の理由を書かないと誤解を与える」「議案の件名だけだと誤解を与える」という点の対応策について聞かせてほしい。
→DELI議員
2年前にも説明した通り、浜田市議会などでは、(字数をあまり制限する必要のない)ホームページできちんと討論を載せていたりする。賛否を公開する方向性を決めれば解決する問題だと思う。
●原委員
2年前には、「議会だよりは、”議会全体の賛否”をのせるものである」という議論もあったが、これについてはどう考えるか。
→高木議員
千葉県の市町村では過半数が(個人または会派の)賛否の公開を行っている。君津の場合は、市民からの声もあったが、議会内部からも議員個人の賛否の公開をしていこうという声があって実現した。松戸市も前進していってもいいのでは。
→DELI議員
2015年のデータでは、「全国の自治体の52%が賛否公開している」となっていた。その4年前から比べると3倍になっている。千葉県内でも、この2年間で君津も公開するようになったのを考えると、ニーズをくみ取って賛否公開するようになった自治体は多い。
●飯箸公明委員(公明党)
請願文では、千葉市・船橋市・市川市・柏市・流山市・我孫子市・野田市の七市を例に挙げられているが、賛否の公開をした年度は把握しているか。
→DELI議員
七市については把握していない。ちなみに、君津は去年の3月に公開。
●飯箸委員
「議会改革の流れ」は承知している。請願者が趣旨説明で「低投票率に拍車がかかるのではないか」と仰ったが、この前の野田市議会議員選挙も投票率は低かった。どういう風に評価するかはともかく、先人たちが積み上げてきた議会規則には、重いものがあると考える。市民のニーズがつかみ切れていない。
「議会改革の流れ」の中で、賛否の公開以外の方法で、議会に興味を持ってもらう方法は何かあるか。(×)
→DELI議員
個人の市政報告等で情報を公開したりする方法もあるが、オフィシャルな方法で確認する方法は現在のところない。そこに市民のニーズがあるのであれば、議論すべき。(△)
●城所正美副委員長(公明党)
千葉市・船橋市・柏市は個人ではなく会派ごとの賛否公開となっているが、こういった方法も視野に入れて考えているのか。
→DELI議員
願意はあくまでも、個人毎の賛否公開だと思う。
●城所副委員長
会派ごとに合意形成するのも我々の仕事だと思うが、その辺をどう考えるか。
→DELI議員
我々は比例代表で選ばれているわけではないため、個人の賛否を公開すべきだと思う。
●城所副委員長
千葉市・船橋市・柏市は議員の数が多いため、会派ごとになったのかもしれない。松戸市も44人いるため、表示の仕方は難しいかもしれない。いずれにせよ、松戸市でも議運・広報委員会等で公開に向けて努力していることは認めるか。
→DELI議員
努力を認めるというよりは、2年前よりは深い議論ができる状況になっているとはいえると思う。
●城所副委員長
我々も努力しているということは、感じているか。
→DELI議員
はい。(×)
●城所副委員長
引っ越し先の例が出たが、引っ越し先が見つからず、白紙になることもある。努力はしているけど、前に進めていないというところは理解してほしい。
●二階堂剛委員(政策実行フォーラム)
城所委員の仰ったように、努力をしても前になかなか進まない部分もあるだろうが、今すぐにもできる事は何かあるか。
→高木委員
2年前の議論では議会の会則を変更しなければできないという意見があったが、目視やカメラ、事後の聞き取りなどによって確認するということで問題ない、という合意を全議員がすれば、会則変更はなくても賛否公開は可能だと思う。他の自治体でも、議会の会則の変更なく賛否公開に踏み切っているところがある。また君津の例では、賛否を紙面に公表することになっても、記事の調整で議会だよりのページを増やすことなく発行できているとの事。「概要と賛否を紙面に載せにくい」という場合は、まずはホームページの公開から行ってみることもできるのではないか。ホームページでということであれば、さほどお金もかからないのではないかと思う。
●二階堂委員
前回も、金銭がかかるといった議論に行ってしまって、公開そのものについての議論がどこかに行ってしまった。久留米に視察に行った際に聞いたのは、賛否公開を行うにあたっては、議会事務局員が目視で確認を取っていて、金額もあまりかかっていないとの事。
●杉山由祥委員(まつど自民)
高木議員の答弁の内容を確認させてほしい。「議会だより」のページ数を増やすことなく、賛否の掲載を行うことが出来た自治体があるとのことだが、どこの市で、どういう方法で行ったのか詳しく教えてほしい。
→高木議員
君津の例では、全会一致のものについては名前は掲載しない、その他の部分は紙面の割り振りで実現した。
→DELI議員
数でいうと23市ある。特別工夫しなくても大丈夫だと思う。
●杉山委員
「どこかでやっている」だけじゃ不十分だと思う。具体的な事例を示してほしい。
→高木議員
君津の例では、議案の賛否の部分については、1ページの4分の1位増えている。これによって減った部分は、やりくりで調整したと伺っている。
●杉山委員
松戸市議会の場合は44名だが、それでも大丈夫か。(×)
→高木委員
そのあたりは、広報委員会で議論していけばいい事だと思う。(×)
●伊東英一委員(公明党)
松戸市議会でも、会派ごとの賛否公開をしたことがあった。その後、取りやめた経緯がある。「事故」(※2)が起きてしまった。それに対する対策についてお聞きしたい。
1.以前会派ごとの賛否公開を行った時のように、目視での確認で良いのか。
2.更なる対策について、何か考えているのか。
→DELI議員
この請願は、「方向性を決めてほしい」という願意だと思う。対策としては、目視する人数を増やす、他市が行っているようにカメラを導入するといった方法があると思う。
●伊東委員
松戸市では「事故」が起きているので、「他市でできているから」というのは通用しないと思う。
この件に関して、他の会派との意識の調整は積極的に行われたのか。
→DELI議員
目視はともかく、カメラは確実に確認が取れる方法だと思う。
議運等の視察では、賛否公開の質問が出たと、同会派の議員から聞いた。2年前と比べて、関心も理解も深まっていると認識している。
●原委員
議決の確認の方法、一つはカメラという方法があるが、視察に行っている中で、目視で確認して後で紙で確認するという方法を取っているところがあったり、事前に賛否が分かれると分かっている議案について記名投票を行ったりしているところがあったりした。皆さんは、そういった方法を取っているところについてご存知ですか。
→高木議員
私も、原委員の仰ったような方法を取っているところがあると聞いている。
●原委員
目視だけだと心配な部分もあったので、事務局に聞いたところ、問題ないと言われた。目視+紙での確認で問題ないと考える。
※1 松戸市議会の委員会審議において、請願者・陳情者が趣旨説明は、「議事休憩中」に行っていることされている。会議録等には残らないようになっている。
※2 かつて「議会だより」紙面で、会派毎の賛否を試験的に掲載している時期があった。(平成24年6月定例会分~平成25年6月定例会分)しかし、広報委員会がとった記録に誤りがあるとある議員から抗議があり、「事故」「誤解が生じた」とはこのことを指していると思われる。
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